入院費が払えるか心配だけれど、専門家への相談にもお金がかかるのではないか。
退院後の生活について聞きたいのに、誰に声をかければよいか分からない。
そんなときは、入院先の医療福祉相談室や病棟の看護師に、医療ソーシャルワーカーへ相談したいと伝えてみてください。
私が勤める病院では相談は何度でも無料でしたが、MSWが対応できる時間は平日の日中に限られていました。
無料で相談できることと、24時間いつでも面談できることは別です。
医療ソーシャルワーカーとして10年働いてきた経験から、申し込み方や相談前に分かっていると助かることを紹介します。
医療ソーシャルワーカーへの無料相談はいつでもできる?

相談料と受付時間、予約の要否は、利用する病院の案内で確認してください。
病院が夜間も診療しているからといって、医療福祉相談室も同じ時間に開いているとは限りません。
MSWへの相談料とサービス利用料は別に考える
私の勤務先では、相談は何度しても無料であると説明していました。
公的な病院の例では、国立病院機構の霞ヶ浦医療センターも医療福祉相談を無料とし、平日9時から17時までの受付と案内しています。
同センターは予約不要としていますが、これは一つの病院の運用で、ほかの病院にも共通する決まりではありません。
また、相談が無料でも、診療や書類の発行、施設や介護サービスの利用に費用がかからないという意味ではありません。
費用が心配なら、申し込み時に相談自体の料金を確認し、面談では紹介されたサービスの費用も別に聞くと安心です。
受付時間外はMSWからの連絡方法を確認する
私の病院でのMSWの勤務は、平日8時30分から17時30分でした。
時間外に相談希望があるときは、夜勤の看護師が概要を聞き、MSWが引き継ぎを受けて相談者へ連絡する運用でした。
夜間にMSW本人と話せるという意味ではないため、いつ連絡をもらえるかを確認してください。
体調の急変や今すぐ必要な診療については、MSWの面談を待たず、病棟の看護師などに伝えてください。
医療ソーシャルワーカーへ相談したいときの申し込み方

担当MSWがすでに決まっているかどうかで、最初の連絡先が変わることがあります。
名前が分からない場合も、病棟で相談希望を伝えるところから始められます。
- 担当MSWが分かる場合は相談室へ連絡する
- 担当が分からなければ病棟看護師に相談希望を伝える
- 連絡のつく電話番号と話せる時間帯を伝える
- 急ぐ用件がある場合はその理由も伝える
担当MSWがいない場合は看護師に取り次ぎを頼む
私の勤務先では、急性期の病棟からそのまま退院できそうな方には、通常はMSWの担当が付いていませんでした。
その場合は病棟看護師に希望を伝えてもらい、後日MSWから連絡して面談日を調整していました。
担当者が紹介されていないことだけで、相談できないとは考えなくて大丈夫です。
退院後の生活のことで医療ソーシャルワーカーに相談したい、と伝えてみてください。
相談の予約では一番心配なことを一つ伝える
まだ状況をうまく説明できなくても、まず困っていることが分かれば、面談の準備につながります。
例えば、家族の介護を一人では担えない、入院費の支払いが心配、という短い説明で構いません。
これは伝え方の例であり、詳しい病状や制度の名前を調べてから申し込む必要はありません。
家族の都合が付きにくい場合は、電話相談や別の面談方法が可能かも聞いてみましょう。
MSWに相談できることと医療職に確認すること

初めての面談では、リハビリでどこまで回復するのか、元の生活に戻れるのかと聞かれることがよくあります。
生活の不安はMSWに伝えられますが、回復の見通しをMSWだけで判断することはできません。
回復への不安は生活の希望と一緒に伝える
元の状態に戻れるのかという心配の背景には、自宅の階段や家族の介護、仕事のことなどがあるかもしれません。
医学的な予後や身体機能の見通しは、主治医やリハビリテーションの担当職種に確認する必要があります。
MSWとの面談では、退院後にどんな暮らしを望んでいるのかを伝え、医療職への確認も含めて相談してください。
回復の見通しがまだ決まっていなくても、今から準備できることを一緒に整理することはできます。
医療費や退院後の介護も相談内容になる
経済的な心配、介護サービスの利用、自宅で暮らすための準備、施設の検討なども相談の対象です。
制度にはそれぞれ条件があるため、MSWが相談を受けたら必ず給付が認められるわけではありません。
誰が利用できるかや申請先、費用について、状況に合った確認先へつながるための相談と考えてください。
早めのMSW相談で退院先の検討が進んだ経験

早く相談する利点は、退院先を早く決めることだけではありません。
本人が話したいと思ったタイミングで新しい情報が分かり、必要な支援を考え直せることもあります。
本人の相談から親族との連絡につながった
以前、自宅への退院を希望する方を担当しました。
当初は身近に連絡を取れる人はいないとのことで、必要になると思われた介護保険の申請も希望していませんでした。
その後、ご本人から連絡先を知っている親族がいると教えてもらい、申請についても相談したいとの申し出がありました。
親族と連絡が取れて面談につながり、初めて自宅の生活環境の課題が分かりました。
自宅へ戻ることだけを前提にせず、ケアマネジャーとも調整し、本人の納得のもとケアハウスへの退院を進められました。
相談したら最初の希望を変えられないわけではない
この経験では、ご本人が途中で希望や情報を伝えてくれたことが、支援を組み直すきっかけになりました。
すべてのケースが同じように進むわけではありませんが、最初の面談で方針を完成させる必要はありません。
家に帰りたいけれど心配が増えた、介護サービスをもう一度聞きたいなど、気持ちが変わったときも伝えてください。
医療ソーシャルワーカーへの相談前は何を準備する?

資料をそろえなければ相談できないわけではありません。
分かる範囲で本人の希望と家族が心配していることを整理しておくと、面談で確認したい点が見えやすくなります。
- 本人が退院後に希望する生活
- 家族が対応できることと難しいこと
- 利用中のサービスや担当ケアマネジャー
- 特に聞きたい費用や手続き
- 連絡してよい家族や関係者
うまく話せなければMSWと一緒に整理する
私は最初に、一番心配なことと一番聞きたいことを確認するようにしています。
次に、退院後にどのような生活ができるとよいかを聞くと、相談の方向が見えてくることがあります。
過去と現在の話が混ざる場合は、いつの出来事かを一緒に確認したり、はい・いいえで答えられる質問を挟んだりしています。
順序立てて話せないからと、申し込みをためらう必要はありません。
秘密にしたい内容は共有の範囲を確認する
相談内容は適切に管理する必要がありますが、支援に必要な範囲で院内の医師や看護師などと共有される場合があります。
誰にも一切伝わらないと考えるのではなく、共有を避けたい事情があるときは最初に相談してください。
個人情報保護委員会の医療・介護分野のガイダンスでも、利用目的や同意など、情報の取扱いが整理されています。
出典:個人情報保護委員会
まとめ:医療ソーシャルワーカーへの相談は心配が言葉になる前でもよい

MSWの相談料や受付時間は病院ごとに確認が必要で、無料の窓口でも24時間面談できるとは限りません。
担当が分からなければ、病棟の看護師に相談希望を伝えてみてください。
相談のために制度の知識を身につけたり、家族の意見を一つにそろえたりしておく必要はありません。
まずは、退院後の生活が心配なので相談したい、という一言から始められます。
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