「自分で手続きできそうだし、ケアマネージャーはいらないかもしれない」
そのようにお考えではありませんか。
たしかに、ケアマネージャーに頼らず、自分で介護の手続きや計画作りを行うことは可能です。
しかし、現役の医療ソーシャルワーカーである私の経験上、知識がないまま安易に自分で手続きを進めると、後々大きな負担を抱えることになります。
この記事では、「ケアマネージャーはいらない」と考えている方に向けて、自分で計画を立てる仕組みや、ケアマネージャーなしで介護を進めるメリット・デメリットを、現役のケアマネージャーがわかりやすく解説します。
よくある失敗談や、今の担当者に不満がある場合の対処法もまとめました。
最後までお読みいただければ、あなたが本当にケアマネージャーを外すべきか、正しい判断ができるようになります。
ケアマネージャーを通さず「自分で介護の計画を作る」ことは可能?

専門家に頼らず、利用者本人や家族が自分で介護サービスの利用計画(ケアプラン)を作ることを、専門用語で「セルフケアプラン」と呼びます。
自分で計画を作る仕組みと、知っておくべき費用の事実について解説します。
介護保険の制度上は自分や家族での作成が認められている
結論をお伝えすると、ケアマネージャーを通さずに自分でケアプランを作成することは誰でも可能です。
介護保険法という法律において、利用者本人やその家族が自分で計画を作成することが明確に認められているからです。
たとえば、市区町村の窓口で専用の用紙をもらい、毎月のサービス利用予定を自分で記入して提出すれば、介護サービスを利用できます。
したがって、ケアマネージャーがいないと絶対に介護サービスが受けられない、というわけではありません。
自分で手続きを行う場合の具体的な流れ
自分で計画を作る場合、毎月必ず役所とのやり取りが発生します。
介護保険の給付管理という専門的な事務作業を、ケアマネージャーの代わりに自分で行う必要があるからです。
たとえば、毎月サービス事業所(デイサービスなど)から実績の報告を受け、利用単位数を計算し、所定の期日までに市区町村へ書類を提出しなければなりません。
これらの事務手続きを毎月正確にこなすことが、自分で計画を作るための必須条件になります。
ケアプラン作成をプロに頼んでも費用は無料
ケアマネージャーに計画作成を依頼しても、利用者の自己負担(費用)は一切かかりません。
ケアプランの作成や相談にかかる費用は、全額が介護保険から支払われる仕組みになっているからです。
たとえば、月に何度相談の電話をかけても、毎月自宅に訪問してきても、あなたに請求書が届くことはありません。
「毎月お金がかかるなら自分で作りたい」と考えていた方は、費用の心配は不要ですのでご安心ください。
ケアマネージャーなしで介護を進めるメリットとデメリット

専門家を外して自分たちだけで介護を進めることには、明確なメリットとデメリットが存在します。
この章では、それぞれの側面と、医療現場で実際によく耳にする失敗談を紹介します。
【メリット】他人に干渉されず自分のペースで進められる
ケアマネージャーを利用しない最大のメリットは、自分のペースで自由にサービスを組み立てられることです。
他人の意見に縛られず、自分や家族の希望だけを反映させた無駄のない計画を作れるからです。
具体的なメリットは以下の通りです。
- 毎月義務付けられているケアマネージャーの自宅訪問を受けなくて済む
- 自分の好きなようにサービス事業所を直接選んで契約できる
- 面談のスケジュール調整など、他人に気を使うストレスがない
第三者を家に入れたくない人や、他人に干渉されず自分で全てを管理したい人にとっては、大きなメリットになります。
【デメリット】書類作成や事業者との調整がすべて自分にのしかかる
一方でデメリットは、想像以上に膨大な手間と責任を伴うことです。
専門知識が必要な書類作成や、各サービス事業所とのスケジュール調整をすべて自分で行う必要があるからです。
デメリットをわかりやすく比較表にまとめました。
| 作業項目 | ケアマネージャーに依頼 | 自分で作成 |
|---|---|---|
| 書類作成 | プロがすべて代行してくれる | 毎月自分で作成し、期日までに役所へ提出する |
| 事業所調整 | ケアマネが交渉し、空き枠を探す | 自分で直接各事業所に電話して交渉する |
| トラブル対応 | 専門家として間に入り解決に動く | すべて自分で責任を持って解決する |
| 情報収集 | 最新のサービス情報を教えてくれる | 自分で調べて制度を理解しなければならない |
ケアマネージャーを外すことは、こうした専門的な業務を自分ひとりで背負い込むことを意味します。
【失敗談】緊急時の対応ができず仕事や生活に支障が出る
「自分ならできる」と思って自分で計画を作り始めたものの、途中で限界を迎えてしまう方は少なくありません。
もっとも危険なのは、本人の状態が急変したときに適切なSOSを出せずパニックになることです。
たとえば、自宅で転倒して急に車椅子が必要になった際、素人ではどのサービスをどう変更すれば生活を維持できるのか即座に判断できません。
その結果、「家族が仕事を長期間休まざるを得なくなった」という失敗談は頻繁に耳にします。
いざという時のリスク管理として、医療や福祉のネットワークを持つ専門家の存在は不可欠です。
「いまの担当者(ケアマネージャー)がいらない」と感じるなら変更がベスト

「ケアマネージャーという存在自体がいらない」のではなく、「いまの担当者と合わない」と感じているケースは非常に多いです。
担当者に不満がある場合の正しい対処法を解説します。
ケアマネージャーを外すより「人を変える」ほうが安全
いまの担当者に不満があるなら、自分で計画を作るのではなく、ケアマネージャーを変更するのが最善の策です。
ケアマネージャーも人間であり、知識量や経験、利用者や家族との相性の良し悪しがどうしても存在するからです。
たとえば、「話をまったく聞いてくれない」「高圧的で相談しにくい」といった不満は、担当者を変えるだけで劇的に改善することがよくあります。
サポート体制を完全に外してしまう前に、まずは担当者の変更を検討しましょう。
担当者を変更するための具体的なステップと相談窓口
担当者の変更は、驚くほど簡単な手続きで完了します。
利用者はいつでも自由にケアマネージャーを選ぶ権利が制度上で保障されているからです。
具体的な変更ステップは以下の通りです。
- 現在の担当者の所属先(居宅介護支援事業所)の管理者に電話で相談する
- 直接言いにくい場合は、市区町村の介護保険窓口や「地域包括支援センター」に相談する
- 窓口からの紹介等で新しいケアマネージャーを探し、契約を結ぶ
- 以前の担当者から新しい担当者へ、必要な引き継ぎが行われる
正当な権利として別の担当者に変更できるため、一人で我慢せずに公的な窓口へ相談してください。
ケアマネージャーに関するよくある質問(Q&A)

ここでは、ケアマネージャーの必要性について迷っている方からよく寄せられる質問にお答えします。
疑問を解消して、納得のいく選択をしてください。
Q1. 自分で計画を立てれば介護サービスの利用料は安くなりますか?
自分で計画を作っても、介護サービスの利用料(デイサービスなどの自己負担分)は安くなりません。
サービスの自己負担割合(原則1割〜3割)は、誰が計画を作っても一律で同じ基準が適用されるからです。
金銭的な節約にはならないため、労力に見合うメリットがあるか慎重に判断してください。
Q2. 担当者の変更にペナルティや追加費用は発生しますか?
担当者を変更しても、ペナルティや追加費用は一切かかりません。
利用者が自分に合った専門職を選ぶことは、介護保険制度で認められた正当な権利だからです。
不満を我慢して質の低いサービスを受け続ける方がリスクですので、安心して変更を申し出てください。
Q3. 担当者と合わない場合、直接本人に断りを入れるべきですか?
直接本人に「あなたを代えたい」と伝える必要はありません。
直接伝えると気まずくなることが多く、その後の引き継ぎ等に支障が出る可能性があるからです。
担当者の所属する事業所の管理者や、地域包括支援センターの職員に間接的に伝えるのが、もっともスムーズで角が立たない方法です。
Q4. 要支援の場合でも専門家に依頼したほうがいいですか?
要支援の方の場合も、専門機関である地域包括支援センターに依頼することをおすすめします。
要介護の仕組みとは少し異なりますが、サービスを利用するための計画作成がやはり必要だからです。
自分で作成することも可能ですが、手続きが煩雑になるため、専門家に任せるのが安心です。
Q5. 良いケアマネージャーを見分けるポイントは何ですか?
もっとも重要なポイントは「話をしっかり聴き、複数の選択肢を提示してくれるか」です。
優秀な担当者は、自分の意見を押し付けず、利用者の意向を尊重した上でプロとしての提案を行うからです。
質問に対して専門用語を使わず、わかりやすい言葉で説明してくれるかも、信頼できる判断基準になります。
まとめ:ケアマネージャーは上手に活用しよう

今回は「ケアマネージャーはいらない」と考えている方に向けて、自分で計画を作る仕組みや、専門家なしで進めるメリット・デメリットを解説しました。
- 制度上はケアマネージャーなしでも手続きやサービス利用は可能
- ただし、書類作成や事業者との調整など、膨大な手間と時間が家族にのしかかる
- 緊急時の対応やトラブルを考えると、専門家なしでの介護はリスクが非常に高い
- ケアマネージャーの利用料は「全額無料」であり、お金の心配は不要
- 今の担当者に不満がある場合は、自分で抱え込まず「担当者の変更」をするのがベスト
ケアマネージャーは、介護の負担を減らし、あなたとご家族の生活を守るための心強いパートナーです。
もし今の環境に悩んでいるなら、まずは地域包括支援センターや役所の窓口へ「担当者を変更したい」と電話で相談してみてください。
一歩踏み出すことで、きっと今より安心できる介護体制が整うはずです。
